アンジュさんにまず日本での中世に僕の前世は無いだろうかと尋ねた。すると
「平安時代は無いです。」
「平家では無く、源氏の方、親鸞の教えに従っていた武士がいます。親鸞の家にまで出向いて自分が疑問に思うことを尋ねています。この人は高僧に会える身分の人です。」
また続いてこの様に続けた。
「親鸞の影響を受けたまま仏門に入った人がいます。この人は教えそのものを教えることをする人です。本を書いて政治に絡んでいっています。奈良か京都ですね。頭を剃っていてこんな感じの服を着ています。」
覚如は17歳のとき天台宗などを学び出家、南都六宗の一つ法相宗を研学するのだが浄土門への思いが強くなって行き、遂には浄土宗西山派の法門に入って学ぶことになる。この件はアンジュさんの言った「親鸞の影響を受けたまま仏門に入る」と符合している。そして彼が親鸞の教えを正しく(彼の思うところの正しさだが)広めるべく浄土真宗を立ち上げようとするところは「教えを教える」を表しているのだろうと感じた。さらに「こんな感じの服」とはまさに覚如の肖像画にあったものであった。 そこで始めて僕は覚如の名を彼女に告げた。 八木の場合もそうであったが、その前世の影響が色濃く出るものである。前述の通りアンジュさんに因れば鎌倉時代に源氏側の武士で親鸞の教えに従っていた者の前世があると言う。これがあったから覚如として親鸞の教えを正しく広めようとしたのか、または覚如としてその前世が必要だったのだろうか。鎌倉時代に武士として生まれ、親鸞に影響を受けて生涯を終え、親鸞の教えを広めるために選んで覚如として生まれてきたと言うのはわりと理解しやすいかもしれない。少なくとも覚如がその前世の影響を受けているらしいことは言える。 |